アボットラボラトリーズは年率平均16.51%の高リターンを得ていた優良ヘルスケア企業
アボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories)は米国の大手医薬品メーカーでリウマチ性関節炎用「ヒュミラ」、脂質異常症治療薬「トライコア」、HIV感染症治療薬「カレテラ」、前立腺がん治療薬「リュープロン」などを製造する。
ジェネリックも展開し、試薬、遺伝子検査キット、栄養補助食品「エンシュア」、血糖値自己測定器「フリースタイル」などを扱う。
ヘルスケア総合大手のアボットラボラトリーズはビタミンや麻酔薬、HIVウィルス検査薬で有名で、現在は乳児用粉ミルク、栄養補助食品、免疫検査・測定機器、特許切れや後発医薬品のエスタブリッシュ医薬品、血管系医療機器の4分野に多角化している。
2013年に研究開発型医療用医薬品事業(バイオ新薬部門)を【ABBV】アッヴィとして分社化した。
2015年に先進国での後発医薬品をマイラン社に売却して事業再建を行っている。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しアボットラボラトリーズは16.51%の年率リターンを叩き出している。
これは【PM】フィリップモリス(現【MO】アルトリア)の年率リターン19.75%に次ぐ高リターンのパフォーマンスを得ていた企業である。
所謂シーゲル銘柄であるが、現在はアボットラボラトリーズとアッヴィが分社化し資本関係はなくなったため、今後のパフォーマンスは未知数である。
今後は医薬品のシェアが高いインドなどの新興市場の開拓に軸足を移していく予定。
採用インデックス
- S&P100
- S&P500
- ラッセル1000
【ABT】アボットラボラトリーズの営業成績
ROA:総資本利益率(%)
粗利率:グロスマージン(%)
アッヴィとアボットラボラトリーズの分社化により売上や営業利益は減少しているが、粗利率は50%超えをキープしている。
【ABT】アボットラボラトリーズの利益・配当・純資産
EPS:一株当たり利益
DPS:一株当たり配当
BPS:一株当たり純資産
ROE:株主資本利益率
こちらも分社化の影響でDPS,EPSなど減少している。
しかし、増配は継続しており、2017年時点で44年連続増配の配当貴族銘柄として君臨している。
【ABT】アボットラボラトリーズのキャッシュフロー
キャッシュフローも大きなキャッシュを生む新薬関連を2013年上場の【ABBV】アッヴィへ分社化したため減少している。
現在のキャッシュフローマージンは15%程度となっており薄利多売の後発医薬品販売で各社と競争にさらされることになると思われる。
【ABT】アボットラボラトリーズの株価チャート(10Year)
2005年1月 株価23.25ドル 配当0.500ドル
2010年1月 株価27.23ドル 配当0.768ドル
2015年1月 株価45.70ドル 配当0.88ドル
2016年1月 株価45.11ドル 配当0.96ドル
2017年1月 株価38.33ドル 配当4.04ドル
2013年アッヴィと分社化後しばらくはバイオブームにより株価も上昇していたが、2015年後半から株価は軟調となっている。
しかし、過去に答えを求めるなら1957年から2003年まで平均年率16.51%の高パフォーマンスであったアボットラボラトリーズである。
過去のものだけでなく、分社化しても連続増配の配当貴族銘柄を継承しつつ投資家に高いリターンをもたらす企業であり続けると思われる。