化学・電気素材メーカーのスリーエムは幅広い産業分野に5万5000種に及ぶ製品を提供するコングロマリットでダウ30銘柄かつ長期連続増配の配当王銘柄
スリーエムは米国の化学・電気素材メーカーで、産業、生活、ヘルスケア分野で事業を展開する。
産業・交通部門の主要製品はビニール、ポリエステル、フィルム製品など。
ヘルスケア部門の主要製品は医療用テープ、創縫合製品など。オフィス・家庭向け製品は「スコッチ」粘着テープ、「ポスト・イット」粘着ふせん、ディスプレイ用資材などを展開する。
化学・電気素材を核とした多角経営会社のスリーエムは、粘着製品のポストイットなどの消費財で知られるが、電気、電子、ヘルスケア、通信、自動車・交通、オフィス、ホーム&レジャーなど幅広い産業分野に5万5000種に及び製品を提供する。
地域別では、売上高の約4割を米国が占めるが、アジア大洋州が3割、EMEAが2割と幅広く展開している。
日本では100%子会社の3Mジャパングループが事業展開する。
連続増配銘柄の米国株銘柄代表格で、50年以上連続して増配している配当王の頂点付近に君臨する株主還元をしっかりする企業である。
2017年通期は全体的に好景気を反映して数量増。
なかでも、中国・アジアが2ケタ増の営業利益であった。
ただ、税制改正による一時的な費用処理が重荷となり、純益減益となった。
2018年も好景気が続くと想定され、さらにスリーエムは1/25に税制改正による実効税率の軽減を見込み、EPSを小幅上方修正した。
スリーエムの同業他社は【HON】ハネウエル【GE】ゼネラルエレクトリック【JNJ】ジョンソンエンドジョンソン【IBM】アイビーエムなど。
60年を超える連続増配は圧巻のひとこと。
資本財ながら、金融危機の影響も少なく、しっかりとした経営理念で安定した収益を確保しているスリーエムはエクセレントカンパニーであろう。
採用インデックス
- ダウ30
- S&P100
- S&P500
【MMM】3M Co株価指標
2018年9月4日時点
PER:29.18倍
配当利回り:2.59%
増配年数:60年
最新情報→「YAHOO!FINANCE」
【MMM】スリーエムの2017年株価チャート
2017年スリーエムのパフォーマンスは+34.4%であった。
【MMM】スリーエムの企業業績(10年)
【MMM】スリーエムのEPS・配当
EPS(Earnings Per Share)一株あたり利益
- EPS成長率(10年平均):+3.5%
2009年から過去10年平均のEPSは+3.5%の変動率であった。
2018年のEPSは7.93ドルで前年比-2.8%の変動率であった。
今後のスリーエムEPSは2018年に10.58ドル、2019年に11.57ドルを予想している。
DPS(Dividends Per Share)一株当たり配当
DPS成長率(10年平均):10.4%
2008年から過去10年平均の配当は+10.4%の上昇であった。
2017年の配当は4.7ドルで前年比+5.9%の上昇であった。
2014年から増配率が上がってきている。
Payout Ratio 配当性向
配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。 当期純利益に対して配当金支払額の占める割合の式で表される。
2017年は前年の54.9%から51.7%へ低下となった。
近年の高い増配率にも関わらず、配当性向が大きく上昇することはない。
【MMM】スリーエムの営業成績
Revenue 売上高
- 売上成長率(10年平均):2.61%
2008年から過去10年平均の売上高は+2.61%の上昇であった。
2017年の売上高は前年比+5.14%の上昇であった。
売上自体に大きな伸びしろは少ない。
Operating Income 営業利益
- 営業利益成長率(10年平均):3.07%
2008年から過去10年平均の営業利益は+3.07%の上昇であった。
2017年の営業利益は前年比+0.15%の変動率であった。
営業利益も売上同様に横ばいが続いている。
Net Income 純利益
純利益成長率(10年平均):+1.72%
2008年から過去10年平均の純利益は+1.72%の変動率であった。
2017年の純利益は前年比-3.8%の変動率であった。
純利益も大幅な上昇をしていない。しかし着実に硬い。
Gross Margin % 粗利率
グロスマージン(売上総利益率)は、収益性分析の指標の一つで、売上総利益の売上に対する構成比を表す指標で粗利率とも呼ばれる。企業が提供する商品またはサービスの競争力、販売力、製造効率を測るために利用される。
2017年のグロスマージンは前年の50.0%から49.5%へ低下した。
売上・純利益・営業利益は近年横ばいも、グロスマージは年々高めに推移している。
Operating Margin %(営業利益率)
- 営業利益率(10年平均):22.0%
2008年から過去10年平均の営業利益率は22.0%となっている。
2017年の営業利益率は前年23.6%から22.9%へ低下ている。
営業利益率は高い。
【MMM】スリーエムのROAとROE・財務レバレッジ
ROA(Return On Assets):総資本利益率
- ROA(10年平均):14.1%
2008年から過去10年平均のROAは14.4%となっている。
2017年のROAは前年15.4%から13.7%へ低下している。
10%を超える高いROAの数値である。
ROE(Return on Equity):株主資本利益率
- ROE(10年平均):33.2%
2008年から過去10年平均のROEは33.2%となっている。
2017年のROEは前年45.9%から44.4%へ低下している。
資本財セクターにありながら驚異的なROEである。
【MMM】スリーエムのキャッシュフロー
OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
- 営業キャッシュフローマージン(10年平均):19.7%
2008年から過去10年平均の営業キャッシュフローマージンは19.7%となっている。
2017年の営業キャッシュフローマージンは前年22.1%から19.7%へ低下している。
過去10年間安定して20%前後の高い営業キャッシュフローで安定している。
FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
Cap Spending:設備投資
- フリーキャッシュフローマージン(10年平均):15.0%
2008年から過去10年平均のフリーキャッシュフローマージンは15.0%となっている。
2017年のフリーキャッシュフローマージンは前年17.4%から15.4%へ上昇している。
資本財セクターでこのキャッシュカウは素晴らしい。
【MMM】スリーエムの株価チャート(過去15年)
リーマンショックで株価急落も、その後はしっかりと上昇基調に株価は推移している。
高いROA、ROEを有し、資本財セクターにありながらキャッシュフローも潤沢である。
これは、付加価値が高い製品を世の中に出し続けており、価格競争に晒せれにくいスリーエムブランドを築いていることからだろう。
連続増配年数の60年に到達し、成熟した企業であるスリーエムは今後も着実に企業価値を生み続け株主に配当という形で還元してくれる企業ではないだろうか。