【T】AT&Tの企業分析(2016年版)-2017年2月に2.1%増配で33年連続増配となった世界最大級の総合通信事業会社

AT&Tはグラハムベルが設立した電話会社が前身の高配当銘柄

AT&T(AT&T Inc)は米国の通信業持株会社で主に携帯電話事業を展開、子会社AT&Tモビリティを通じて米国内の企業や個人に市内・長距離携帯電話、ローミングサービスを提供。

また、インターネット接続、専用回線、DSL、IPテレビ「U-verse」、ブロードバンド、IP電話、ウェブホスティングなどのサービスを提供している。

17050402

世界最大級の総合通信事業会社であるAT&Tは、グラハムベルが設立したベル電話会社が前身となっている。

米国の通信事業を独占していたが、1980年代に地域電話会社を分離した。2005年に元傘下のSBCコミュニケーションズが逆買収。

現在は電話に加え、高速移動体通信網4G LTEによるブロードバンドサービスを提供している。

2015年に衛星放送最大手のディレクTVを買収し、2016年11月にストリーミングTVのDIRECTTV NOWを開始。

2016年11月にはタイムワーナーを854億ドルで買収合意を得ている。

2016年通期はディレクTVの買収効果で増収となった。携帯電話は新規加入数が鈍化、収益も頭打ちでエンターテインメント事業にシフト中である。

NOWは会員20万人超で好発進し、IPやビデオも好調。2017年はトランプ大統領が反対している合併が頓挫しても業績は堅調を予想。

AT&Tの同業他社は【VZ】ベライゾン【CMCSA】コムキャストなど。

5%近い配当利回りで古くから高配当銘柄として知られているAT&Tである。【VZ】ベライゾンと2大巨頭となっているが、通信事業の競争激化で今後はメディアと融合し幅広いサービスを提供して収益を拡大していく方針。

採用インデックス

  • S&P100
  • S&P500
  • ラッセル1000

AT&Tの2016年株価チャート

17050403

2016年のAT&T株価は34.41ドルから42.53ドルとなっており+8.12ドル(+29.18%)のリターンであった。

AT&Tの企業業績(10年)

17050404

17050405

17050406

AT&TのEPS・配当

17050407

年次でEPSのばらつきが見受けられる。若干EPSが下降傾向になるのが気になるところ。

17050408

2017年も2.1%の増配で増配年数は33年連続となった。概ね2~2.5%の増配率となっている。

17050409

配当性向も2016年は81.3%となっているが依然高い水準にある。増配余地が少なく今後も低い増配率が継続することだろう。しかし現状の5%配当は魅力的である。

AT&Tの営業成績

17050410

ディレクTVなどの買収効果で売上は上昇傾向にある。

17050411

売上は増加しているが、グロスマージンは下落している。これは電話や携帯電話などのメインである通信事業の競争激化などで薄利になってきていることを意味する。

17050412

営業利益は何とか現状位置といったところである。

17050413

純利益も2015年同等の水準となっている。

AT&TのROAとROE

  • ROA(Return On Assets):総資本利益率
  • ROE(Return on Equity):株主資本利益率
  • Financial Leverage:財務レバレッジ

17050415

17050416

17050417

ROA,ROE共に過去10年平均を下回っている。通信事業だけでなくメディア事業などM&Aなどを通じて、新たなる収入源を求めていく必要性を感じる。

AT&Tのキャッシュフロー

  • OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
  • OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
  • FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
  • FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
  • Cap Spending:設備投資

17050418

17050419

17050420

グロスマージンの低下、営業利益や純利益,ROA,ROEの停滞と厳しいAT&Tではあるが、営業キャッシュフローマージン24.0%,フリーキャシュフローマージン10.3%と既存顧客などを通じて高いキャッシュフローを得ている企業である。

このキャッシュフローを現有事業のコスト削減や新規事業の参画に企てることで永続する企業として今後の経営を進めていってもらいたい。

AT&T Incの株価チャート(過去15年)、株価パフォーマンス(過去10年)

17050421

17050422

2003年と2008年に株価下落しているが、その後は安定して株価上昇している。

配当も2008年から5%超えを続けており連続増配かつ高配当銘柄としてディフェンシブ銘柄の役割を果たしている。2016年は株価上昇率が29.18%と高くなったため4.51%の配当率となっているが依然高配当である。

大手電気通信事業である【VZ】ベライゾンと共に【T】AT&Tもディフェンシブ銘柄として大きな成長期待は難しいが、長期ポートフォリオの一部として検討したい銘柄と言えるだろう。

高配当かつ連続増配銘柄は配当再投資することでインカムゲインの最大化を目指せる長期投資に適した銘柄だ。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます