ユナイテッドテクノロジーズはユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートから反トラスト法によりボーイングやユナイテッド航空が分社化し、現在のユナイテッドテクノロジーズに至る経緯を持つ大手重工企業
ユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies Corp)はビル、航空宇宙産業向けにハイテク製品を提供。エレベーター、エスカレーター、家庭・業務用冷暖房空調機器、冷凍・冷蔵車を製造。
セキュリティーシステム、火災探知器、消火システムも扱う。また、民間・軍用機エンジン、ガスタービン、航空機製品、産業用ポンプ、空気圧縮機、軍用・民間ヘリコプターの製造、保守サービスを行う。
機械機器メーカーのコングロマリットであるユナイテッドテクノロジーズは1934年に反トラスト法により、会社分割で【BA】ボーイングや【UA】ユナイテッド航空と共に設立された重工事業である。
エレベーターやエスカレーターのOtis、空調・セキュリティのUTC Climate、民間・軍用航空機エンジンのPratt & Whitney、民間ジェット機向けシステムのUTC Aerospaceが中核の事業となっている。
【UTX】は上記にように多種の部門を会社として運営しており、各々が独立採算として組織されている。
ビルシステム・産業システム
キヤリア
世界シェア上位の空調設備メーカー。エア・コンディショナーなど空調システムの製造販売を行っている。日本では、東芝との合弁企業東芝キヤリアで事業展開している。
オーチス・エレベータ
世界シェア上位のエレベータ・エスカレータメーカー。製造、設置、メンテナンスサービスを行う。日本法人は日本オーチス・エレベータ。
UTCファイア・アンド・セキュリティ
防火製品およびセキュリティサービス業務を行っている。
宇宙航空システム
ハミルトン・サンドストランド (Hamilton Sundstrand)
商業や軍事、国などへの航空宇宙システムの設計、製造を行う。国際宇宙計画における主要業者である。また、化学、食品加工から、建築、採掘に至るまで様々な工業製品を手がけている。
航空機エンジン
プラット・アンド・ホイットニー (P&W)
ガスタービンエンジンやロケットエンジンなどの設計・製造を行う。航空用ジェットエンジンについては、GEアビエーションとロールス・ロイス plcに並ぶ世界3大メーカーのひとつ。
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ (P&WC)
小型航空機エンジンの設計・製造、サポート業務を行う。
これらの事業が集合体としてユナイテッドテクノロジーズとなっており、米国の中核を担う企業であることからダウ30銘柄として採用されている。
採用インデックス
- ダウ30
- S&P100
- S&P500
- ラッセル1000
【UTX】ユナイテッドテクノロジーズの営業成績
ROA:総資本利益率(%)
粗利率:グロスマージン(%)
不況時期も関係なく、極めて安定した収益となっている。逆にいうと重工業がメインであることから、産業構造上成長余地が少ないともいえる。
【UTX】ユナイテッドテクノロジーズの利益・配当・純資産
EPS:一株当たり利益
DPS:一株当たり配当
BPS:一株当たり純資産
ROE:株主資本利益率
EPSは2016年は減少しているが、それまでは安定して上昇している。
また23年連続増配であることでDPSも右肩上がりであり、過去10年間の平均増配率は9.8%と高い増配水準を示している。
【UTX】ユナイテッドテクノロジーズのキャッシュフロー
近年キャッシュフローマージンが低下している。原価以外で収益構造の変化が出てきている可能性がある。
【UTX】ユナイテッドテクノロジーズの株価チャート(10Year)
2005年1月 株価51.61ドル 配当0.70ドル
2010年1月 株価70.67ドル 配当1.54ドル
2015年1月 株価116.60ドル 配当2.36ドル
2016年1月 株価96.41ドル 配当2.56ドル
2017年1月 株価110.59ドル 配当2.64ドル
株価は意外とマイルドに上昇している。株主還元には積極的で23年連続増配であり、あと少しで配当貴族銘柄入りの25年連続に達しようとしている。
ダウ銘柄であり配当も直近では2.5%程度と高配当ではないが、今後も安定した株主還元をしてくれる企業ではないかと思われる。
ただ、トランプ相場で上昇すると思われるが、巨大企業として大きな成長という意味では何とも言えない。資本財セクターなので日本では三菱重工や川崎重工に近いイメージだろうか。
米国の企業では【GE】ゼネラルエレクトリックなどが近い業種となっていると思われ、資本財のポートフォリオ構築候補に【GE】と共に挙がる企業と言える。