アルトリアは世界売上高トップのMarlboroブランドが主軸のたばこメーカで長期投資で最大リターンを得られた配当貴族のシーゲル銘柄
アルトリア・グループは米国のたばこ・ワイン製造持株会社でフィリップモリスUSAは米国でたばこと無煙たばこを製造、主要ブランドは「マルボロ」や「バージニアスリム」など。
また機械製葉巻やパイプたばこ、「スコール」などのブランド名で無煙たばこの製造に従事。セント・ミシェル・ワイン・エステイトはワインを製造・販売する。
米たばこ業界首位のシェアをもつアルトリアは世界売上高トップのMarlboroを筆頭に多数ブランドを輩出しているたばこ企業である。
ワイン事業も展開し、2007年に食品部門のクラフトフーズをスピンオフ、2008年に米国外たばこ部門のフィリップモリスインターナショナルをスピンオフした。
アルトリアの同業他社は【PM】フィリップモリス【BTI】ブリティッシュアメリカンタバコ【LON】インペリアルブランズ【KHS】クラフトハインツ【MDLZ】モンデリーズインターナショナルなど。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しアルトリア(旧フィリップモリス)は19.75%の年率リターンを叩き出している。
採用インデックス
- S&P100
- S&P500
【MO】Altria Group Inc株価指標
2018年12月28日時点
PER:8.65倍
配当利回り:6.57%
増配年数:49年
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【MO】アルトリアの2017年株価チャート
2017年アルトリアのパフォーマンスは+9.36%であった。
【MO】アルトリアの企業業績(10年)
【MO】アルトリアのEPS・配当
EPS(Earnings Per Share)一株あたり利益
- EPS成長率(10年平均):+1.4%
2008年から過去10年平均のEPSは+1.4%の変動率であった。
2017年のEPSは5.31ドルで前年比-27.1%の変動率であった。
今後のアルトリアEPSは2018年に3.97ドル、2019年に4.36ドルを予想している。
2007年や2008年からEPS減少しているのは、クラフトフーズやフィリップモリスのスピンオフの影響であるため業績が悪化したわけではない。
また、2016年のEPS上昇はビール大手の25%株式を保有していたSABミラーをアンハイザーブッシュインベブ【BUD】が買収したことによる特別計上の影響であり基本的にEPSは安定した右肩上がりとなっている。
DPS(Dividends Per Share)一株当たり配当
DPS成長率(10年平均):5.2%
2008年から過去10年平均の配当は5.2%の上昇であった。
2017年の配当は2.5ドルで前年比+8.1%の上昇であった。
2018年の増配発表で49年連続増配となっている。
2009年に配当が下落しているが、フィリップモリスをスピンオフした影響であり、実質の増配は継続している。
Payout Ratio 配当性向
配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。 当期純利益に対して配当金支払額の占める割合の式で表される。
2017年は前年の86.7%から31.2%へ低下となった。
これは急激なEPS上昇の影響であるが、アルトリアは配当性向80%を目途に株主還元すると明言しており、2018年は2回も増配があった。
【MO】アルトリアの営業成績
Revenue 売上高
- 売上成長率(10年平均):-3.89%
2008年から過去10年平均の売上高は-3.89%の変動率であった。
2017年の売上高は前年比-0.65%の変動率であった。
スピンオフや巨額の買収を除けば安定した売り上げを計上している。
Operating Income 営業利益
- 営業利益成長率(10年平均):-3.17%
2008年から過去10年平均の営業利益は-3.17%の変動率であった。
2017年の営業利益は前年比+7.25%の変動率であった。
営業利益は総じて右肩あがりである。
Net Income 純利益
純利益成長率(10年平均):+0.44%
2008年から過去10年平均の純利益は+0.44%の変動率であった。
2017年の純利益は前年比-28.21%の変動率であった。
SABミラーとアンハイザーブッシュインベブの株式交換でアルトリアは大きく純利益が上昇している。
Gross Margin % 粗利率
グロスマージン(売上総利益率)は、収益性分析の指標の一つで、売上総利益の売上に対する構成比を表す指標で粗利率とも呼ばれる。企業が提供する商品またはサービスの競争力、販売力、製造効率を測るために利用される。
2017年のグロスマージンは前年の45.0%から46.7%へ上昇した。
安定かつ高い比率のグロスマージンである。
Operating Margin %(営業利益率)
- 営業利益率(10年平均):31.8%
2008年から過去10年平均の営業利益率は31.8%となっている。
2017年の営業利益率は前年34.7%から37.5%へ上昇している。
営業利益もフィリップモリススピンオフ以降は安定して上昇している。
【MO】アルトリアのROAとROE・財務レバレッジ
ROA(Return On Assets):総資本利益率
- ROA(10年平均):15.5%
2008年から過去10年平均のROAは15.5%となっている。
2017年のROAは前年36.3%から22.9%へ低下している。
アンハイザーブッシュインベブの株式取得で一機にROA上昇している。
ROE(Return on Equity):株主資本利益率
- ROE(10年平均):112.1%
2008年から過去10年平均のROEは112.1%となっている。
2017年のROEは前年182.0%から72.6%へ低下している。
驚異的なROEの高さである。財務レバレッジを低くしてもである。
【MO】アルトリアのキャッシュフロー
OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
- 営業キャッシュフローマージン(10年平均):18.7%
2008年から過去10年平均の営業キャッシュフローマージンは18.7%となっている。
2017年の営業キャッシュフローマージンは前年14.7%から19.2%へ上昇している。
フィリップモリス同様にアルトリアも高いキャッシュフローマージンとなっている。
FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
Cap Spending:設備投資
- フリーキャッシュフローマージン(10年平均):17.9%
2008年から過去10年平均のフリーキャッシュフローマージンは17.9%となっている。
2017年のフリーキャッシュフローマージンは前年14.0%から18.5%へ上昇している。
本業のたばこ業界でしっかりキャッシュを稼ぎ、付加価値高いビール業界などの株式取得することで、足元を固めていっているキャッシュを生み出す優良企業である。
【MO】アルトリアの株価チャート(過去15年)
近年株価が軟調傾向にあるが、安定的にキャッシュを生み出し、利益を内部留保せず株主へ還元し配当再投資を実施できる個別株としては最有力候補と感じている。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しアルトリアは19.75%の年率リターンを叩き出している。
1957年から2003年までのアルトリアは年率リターン19.75%,EPS成長率14.75%,平均PER13.13倍,配当利回り4.07%であった。
フィリップモリス同様、たばこ業界という特殊なジャンルであるため世間一般に受け入れられにくい部分もあるが、費用対効果を過去実績から見たとき、アルトリアは購入する米国株としてポートフォリオに入れたい銘柄であることには間違いない。