アイビーエムは世界的なIT関連サービス大手で高配当な連続増配銘柄
IBM(International Business Machines Corp)は米国のIT大手企業で主にコンピュータ関連製品とITコンサルティング事業を展開する。事業はグローバル・テクノロジー・サービス、グローバル・ビジネス・サービス、ソフトウエア、システム、金融で構成される。また、IT業務の外部委託やソリューションの提供、システム・サーバーの販売、ソフトウエア・ハードウエアの賃貸を行う。
IT関連サービス大手のIBMはメインフレーム、パソコンを開発したコンピュータ創世記の覇者。
1990年代マイクロソフトの台頭や組織の硬直化から業績不振に陥り、CEOのL.ガースナーが大ナタ。
現在はクラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティの戦略分野へ展開。
人工知能Watsonの分析力が今後のカギとなる。広い分野での活用が本格化し、販売増の好機到来となる。
2016年通期は成長分野かつ高粗利率のAI、クラウドが伸長。だが伝統分野のコンサルやシステムの減少分を補えなかった。
下げ幅は縮小したが、4年連続の減収である。研究開発費も膨らみ、営業利益は下降線が続いた。
2017年通期はWatsonの活用促進進め、戦略分野へのシフトを加速、利益底打ちを期す。
アイビーエムの同業他社は【MSFT】マイクロソフト【ORCL】オラクル【CSCO】シスコシステムズ【INTC】インテルなど。
2017年の増配発表により連続増配は22年となりダウ構成銘柄の中でも高配当部類に入るため、ハイテクセクターの中で長期投資家のポートフォリオに組み込む割合は高い。
ただ、2017年1Qに大株主であったウォーレンバフェット率いるバークシャーハサウェイが保有株式の1/3を売却したことで2Q以降株価下落が続いている。
また、20四半期連続減収により減収底打ちと思われた投資家の期待を裏切ったのも株価下落の一因である。
時価総額も大きくダウ構成銘柄でもあること、ハイテクセクターの中では老舗であることからコンピューター創世記から企業インフラに深く入り込み堀を築いている資産も多数あることから安定したキャッシュフローを創出しているため、投資家への配当による株主還元も厚い。
採用インデックス
- ダウ30
- S&P100
- S&P500
- ラッセル1000
【IBM】International Business Machines Corp株価指標
2017年5月12日時点
PER:12.16倍
配当利回り:3.97%
増配年数:22年
最新情報→「YAHOO!FINANCE」
【IBM】アイビーエムの2016年株価チャート
2016年のアイビーエム株価は137.62ドルから165.99ドルとなっており+28.37ドル(+20.61%)のリターンであった。
【IBM】アイビーエムの企業業績(10年)
【IBM】アイビーエムのEPS・配当
2007年から過去10年平均のEPS+7.3%の上昇率であった。
2016年のEPSは12.38ドルで前年比-7.8%の下落率であった。
今後のアイビーエムEPSは2017年に13.79ドル、2018年に14.15ドルをアナリストは予想している。
2007年から過去10年平均の配当は15.6%の上昇率であった。
2016年の配当は5.5ドルで前年比+10.0%の上昇であった。
2017年6月に7.1%の増配で22年連続増配となったことで、25年以上連続増配の配当貴族入りまであと少しとなった。今回の増配により現時点で配当利回り3.99%と高配当を維持している。
EPSが停滞している状況の中、増配率が高いため配当性向が急上昇している。
2016年は前年の33.0%から44.1%へ上昇となった。増配余地は充分にある。
【IBM】アイビーエムの営業成績
2007年から過去10年平均の売上高は-1.34%の下落であった。
2016年の売上高は前年比-2.23%の下落であった。
20四半期連続減収となっており、事業改革の改善は2017年以降になると思われる。今後の底打ち見通しは残念ながら未定である。
2007年から過去10年平均の営業利益は+0.94%の上昇であった。
2016年の営業利益は前年比-16.48%の下落であった。
2007年から過去10年平均の純利益は+2.26%の上昇であった。
2016年の純利益は-9.99%の下落であった。
2016年のグロスマージンは前年の49.8%から47.9%へ下落した。
売上が20四半期連続減収でも40%超のグロスマージンを確保している。
2007年から過去10年平均の営業利益率は18.1%となっている。
2016年の営業利益率は前年19.2%から16.4%へ下落している。
IBMの営業利益率は売上の下落ほど落ち込んでいない。収益率が低い事業から収益率が高い事業へシフトしている過程であるからである。
【IBM】アイビーエムのROAとROE
- ROA(Return On Assets):総資本利益率
- ROE(Return on Equity):株主資本利益率
- Financial Leverage:財務レバレッジ
2007年から過去10年平均のROAは11.9%となっている。
2016年のROAは前年11.6%から10.4%へ下落している。
アイビーエムのROAは2012年から下落傾向にある。
2007年から過去10年平均のROEは71.6%となっている。
2016年のROEは前年101.0%から73.0%へ下落している。
アイビーエムのROAは下落傾向にあるが10%超である。売上げが下落しているにも関わらずROEは73%は充分高い。過去10年平均と同等の高いレベルである。
【IBM】アイビーエムのキャッシュフロー
- OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
- OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
- FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
- FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
- Cap Spending:設備投資
2007年から過去10年平均の営業キャッシュフローマージンは19.1%となっている。
2016年の営業キャッシュフローマージンは前年20.8%から21.2%へ上昇している。
2007年から過去10年平均のフリーキャッシュフローマージンは14.4%となっている。
2016年のフリーキャッシュフローマージンは前年15.7%から16.0%へ上昇している。
2011年をピークに連続減収が続くが、過去10年平均以上のキャッシュフローマージンを稼ぎ出している。
【IBM】アイビーエムの株価チャート(過去15年)、株価パフォーマンス(過去10年)
2009年のリーマンショック以降2013年までは大きく株価上昇したが、大手IT企業の猛追に遭い競争激化により売上を確保できず2015年に株価下落している。
またトランプ相場で2016年末より大きく株価上昇したが、ウォーレンバフェット率いるバークシャーハサウェイが保有株の1/3を売却したことと20四半期連続減収減益が続き株価が下落している。
しかし売上げは減少しているが、高ROEであること・キャッシュフローマージンが高いことを維持していることからIBMの企業規模は縮小しても対応できる力はある企業と考える。