ダウ銘柄で医薬品大手のメルクは2017年増配発表により6年連続増配となった高収益企業のジェレミーシーゲル銘柄
メルク(Merck & Co Inc)は米国の医薬品大手。
医薬品、ワクチン、動物用医薬品、コンシューマーケア製品の発見、開発、製造、販売を行う。循環器・糖尿病、がん、骨・呼吸器、皮膚科・眼科、感染症、中枢神経、女性疾患の分野でブランドを展開。ペット用ワクチンや予防薬を提供。抗ヒスタミン剤「クラリトン」や便秘薬「ミララックス」などを扱う。
世界有数の製薬会社であるメルクは循環器系疾患、糖尿病・メタボリック・肝炎・感染症、がんなどの分野で医薬品、ワクチンなどを製造販売している。
独メルクの米国事業を第一次世界大戦時に接収し独立。
2009年に米シェリング・プラウを買収し規模拡大。日本では2004年に萬有製薬を買収。
がん免疫治療薬のキートルーダは、【BMY】ブリストルマイヤーズスクイブのオブシーボと競合するが治験進めば拡大に期待。特許侵害訴訟で和解、追撃態勢が整う。
2016年通期は、ドル高が収益下押し、キュビシン、レミケードが減少。だが、糖尿病治療薬のジャヌビア・ジャヌメットが堅調、キトルーダが2.5倍増で大型商品に急成長。
リストラ費用が一巡し減益に歯止め。2017年通期もドル高懸念だが、キートルーダなど新薬に期待。利益急回復見込む。
メルクの同業他社は【PFE】ファイザー【SNY】サノフィ【JNJ】ジョンソンエンドジョンソン【BMY】ブリストルマイヤーズスクイブ【AMGN】アムジェン【GSK】グラクソスミスクラインなど。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しメルクは15.90%の年率リターンを叩き出している。
採用インデックス
- ダウ30
- S&P100
- S&P500
- ラッセル1000
メルクの2016年株価チャート
2016年のメルク株価は52.82ドルから58.87ドルとなっており+6.05ドル(+11.4%)のリターンであった。
メルクの企業業績(10年)
メルクのEPS・配当
EPSの波が大きい。為替や特許切れ、新薬開発などで毎年ブレが大きいと思われる。
配当は2006年から2011年まで配当据え置きが続いていたが、その後は増配となり連続増配を続けている。
配当性向は高め。100%前後となっており、増配余地は少ないが株主へできるだけ還元しようとする経営哲学を見て取れる。
メルクの営業成績
2011年をピークに売上げは減少傾向にある。
60%を超えるグロスマージンを過去10年では下回っていない。製薬会社特有ではあるが、売価に対する原価は低く抑えられている。
営業利益は横ばい。
メルクの純利益も横ばいである。
メルクのROAとROE
- ROA(Return On Assets):総資本利益率
- ROE(Return on Equity):株主資本利益率
- Financial Leverage:財務レバレッジ
ROA 4%,ROE 9.3%と2016年に限らず低下傾向にある。
メルクのキャッシュフロー
- OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
- OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
- FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
- FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
- Cap Spending:設備投資
営業キャシュフローマージンは25%超え、フリーキャッシュフローマージンは20%超えとなっており、潤沢なキャッシュフローを開発や株主へ還元している高収益となっている。
また、近年は拡大してきた設備投資を抑え気味にしていることでフリーキャッシュフローの確保につなげている。
Merck & Co Incの株価チャート(過去15年)、株価パフォーマンス(過去10年)
2005年と2009年に株価急落しているが、その後は着実に株価を上昇させている。
メルクの株価は基本的にS&P500に連動しているようだ。しかし3%
を超える年率配当を配当再投資することで、資産の最大化に寄与できる銘柄で有名である。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しメルクは15.90%の年率リターンを叩き出している。
1957年から2003年までのメルクは年率リターン15.90%,EPS成長率13.15%,平均PER25.32倍,配当利回り2.37%であった。
つまり過去S&P500を上回るリターンであっても25倍を超えるPERであったメルクでもアウトパフォームしているという事実である。
良い企業をそこそこの価格で買うということの必要性がメルクには合致しているのではないだろうか。