【PFE】ファイザーの企業分析(2016年版)-2017年3月に6.7%増配で7年連続増配となった世界最大級の製薬会社

ダウ構成銘柄で世界最大級の製薬会社であるファイザーが2017年も増配発表により7年連続増配になったジェレミーシーゲル銘柄

【PFE】ファイザー(Pfizer Inc)は米国最大の大手医薬品メーカーで循環器系、中枢神経系、鎮痛・抗炎症系、筋骨格系、感染症、泌尿器系、眼科系、ガン、内分泌系、ワクチンの薬剤を開発、製造、販売している。

米国49.9%,新興国19.7%,欧州先進国17.6%,その他先進国12.7%の売上げ構成となっており世界的に展開しているグローバル製薬企業である。

幅広い分野で新薬開発に実績があり、第二次世界大戦にペニシリンの量産で有名となった。

2009年に米Wyethを買収するなどM&Aによる多角化と規模追求の事業モデルが先鞭。後発薬の・美容医療のアラガン【AGN】との合併は当局の租税回避の規制強化を受けて中止に。

2016年8月前立腺がん治療薬のメディベーションを買収発表し今後もM&Aを進めていくと思われる。

2016年通期は買収したホスピーラが上乗せし、乳がん治療薬イブランス、疼痛治療薬リリカなど新薬の販売が好調により売上高が世界トップに返り咲いた。ただ、好調のワクチンが減速し既存薬も減少している。

2017年通期は買収効果がフル寄与し新薬牽引とワクチンも底堅く営業大幅増益と純利益は倍増を見込んでいる。

ファイザーは2016年12月に増配を発表した。これは四半期で0.30ドル(年間1.2ドル)から0.32ドル(年間1.28ドル)となり6.7%の増配率となる。

フェイザーの同業他社は【LLY】イーライリリー,【MRK】メルク,【NVS】ノバルティス,【GSK】グラクソスミスクライン,【BMY】ブリストルマイヤーズスクイブなど。

採用インデックス

  • ダウ30
  • S&P100
  • S&P500
  • ラッセル1000

ファイザーの2016年株価チャート

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2016年の株価は32.28ドルから32.48ドルとなり+0.2ドル(+0.62%)のリターンでありブレグジットやトランプラリーなどのイベントがあったものの横ばいの株価推移であった。

ファイザーの企業業績(10年)

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ファイザーのEPS・配当

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EPSの大きな伸びはなく横ばいである。2013年をピークに下落傾向にある。

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2009年にワイスを買収したことで、41年連続増配に一旦ピリオドを打ち減配を行ったが、その後着実に増配を継続しており2017年も6.7%の増配となっている。

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EPSの伸びがない状態で増配を継続しているため配当性向は大きく上昇している。増配の余地はなくなってきているが、今後M&Aやリストラなどを通じてEPSの改善を施してくるだろう。

現時点で4%近い配当を株主に提供しており、株主還元が高い。

ファイザーの営業成績

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2010年から2015年まで売上げが下落しており世界の製薬会社売上げランキング首位の座をノバルティスに奪われたが、2016年から売上げ改善し再び世界首位に返り咲いた。

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グロスマージンも75%から85%範囲を維持し、高い水準を保っている。

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営業利益はゆっくりではあるが、上昇傾向にある。

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純利益は特許切れの影響もあり、下落傾向ではあるが劇的な落ち込みではない。

ファイザーのROAとROE

  • ROA(Return On Assets):総資本利益率
  • ROE(Return on Equity):株主資本利益率
  • Financial Leverage:財務レバレッジ

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ROAは6%前後をキープしている。ROEは概ね10%から15%の範囲であり安定している。財務レバレッジが低いことからROEは十分な水準ではなかろうか。

ファイザーのキャッシュフロー

  • OCF:Operating Cash Flow(営業CF)
  • OCFM:Operating Cash Flow Margin(営業CFマージン)
  • FCF:Free Cash Flow(フリーCF)
  • FCFM:Free Cash Flow Margin(フリーCFマージン)
  • Cap Spending:設備投資

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営業キャッシュフローは30%前後をキープしておりかなり高水準。フリーキャッシュフローも25~35%を推移しておりこちらも高水準である。製薬会社という業界の特性上もあるが大きな波もなく安定していることが素晴らしい。

Pfizer Incの株価チャート(15年)

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2009年のリーマンショックである8.62ドルを底に力強く株価推移している。ただファイザーは1849年創業の老舗製薬会社であり、グロース株ではないため大きな株価上昇は期待できない。

配当再投資を通じて長期にわたり資産の最大化を目指す銘柄としては高配当なファイザーは適した銘柄といえる。

ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると1957年から2003年の間S&P500は10.85%の年率リターンに対しファイザーは16.03%の年率リターンを叩き出している。

1957年から2003年までのファイザーは年率リターン16.03%,EPS成長率12.16%,平均PER26.19倍,配当利回り2.45%であった。

現在のPERは29倍と高値水準にあると思っていたが、ファイザーは一般的水準。EPS成長が鈍化しているものの4%近い高配当であるため、配当再投資を行うことで長期的に資産増加に寄与する銘柄と考える。

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