ウォルマートの「配送」が、Amazonに追いつきつつあるウォルマートより四半期配当52.47ドルを獲得
Amazonとウォルマート(Walmart)、eコマースの顧客にとって、もっとも便利な配送オプションを提供できるのは、どちらか? この闘いは、この2社のあいだで激化している。
先日、ウォルマートはWalmart.comで注文された一部のプロダクトに対して、無料の翌日配送を開始すると発表した。22万個の対象商品の中から35ドル以上の注文をした、フィニックス、ロサンゼルス、そして南カリフォルニアのユーザーは無料で翌日配送を受けることができる。また無料の翌日配送を今年中にアメリカ人口の75%に拡大する計画も発表した。
「全米に戦略的に配置された配送フルフィルメント機能のネットワークを構築してきたおかげで、早く、便利な配送オプションを提供できるようになった」とウォルマートのeコマース部門プレジデント、マーク・ロアCEOはプレスリリースで発表した。「顧客の場所、何を注文しているか、に基づいて適切なプロダクトが適切なフルフィルメントセンターに存在することを確実にするための大規模な取り組みも行ってきた」とのことだ。
一方、Amazonは4月の収支報告においてAmazonプライム会員を対象にした、無料の翌日配送を展開するため8億ドル(約875億円)を投資する計画を発表している。ウォルマートの発表は、ライバルのこの発表に続く形だ。Amazonが提供するプロダクトの幅は、ウォルマートよりも大きい(現在、1億種類のプロダクトがAmazonプライムにおいて、無料2日間配送の対象となっている)。しかし、Amazonプライムでは年会費を支払う必要があるのに対して、ウォルマートはそういったメンバー費用は必要ない。これによって、消費者を引き寄せようという考えだ。
翌日配送をめぐる戦い
これまで、ウォルマートやほかのリテーラーたちは、配送オプションに関してAmazonに追いつくことが努力目標だったが、今回の発表で、その差が縮まっていることが明らかになった。たとえば、ウォルマートが無料の2日間配送(35ドル以上)を提供を開始したのは2017年だった。これはAmazonがプライム会員に向けて無料の2日間配送を開始してから12年後だ。
しかし現在では、Amazonと同じタイミングで翌日配送サービスを開始しようとしている。eマーケター(eMarketer)のeコマース・アナリストであるアンドリュー・リップスマン氏は、ウォルマートが「積極的に実験をしようする態度」が、より堅強なロジスティックス・ネットワークの構築に関して非常に重要であった、と指摘する。
「配送インフラストラクチャを構築するにあたって、買収、パートナーシップ、と考えられるすべてのオプションを彼らは試した。そのすべてが成功したわけではないが、こういったコストを実験のために支払うことを厭わなかった。そのおかげで、今日の翌日配送展開というポジションにたどり着いたわけだ。過去2〜3年に(こういった投資を)行っていなければ、信頼できる形で翌日配送を実現するなんてことは不可能だったと思う」と、彼は言う。
継続的な「努力」の賜物
この1年、ウォルマートは社内機能への投資と同時に、ユーデルビ(Udelv)、フォード(Ford)、そしてインスタカート(Instacart)といった多くの企業とパートナーを組み、顧客の自宅までの宅配のためのロジスティックス・ネットワークを構築してきた。そのなかで、2017年に自宅までの宅配企業であるパーセル(Parcel)を買収している。また食料雑貨に関してもロジスティックス・ネットワークを構築してきた。昨年、食料雑貨のピックアップができる店舗数を1500店から2100店へと増やしている。今年は、さらに900店舗をそこに加え、食料雑貨の宅配を行う店舗の数は、2倍に増やす計画を持っている。
ウォルマートは配送センターを追加する必要もあった。特にeコマース専用のセンターだ。いまではアメリカに156の配送センターを抱えている。5年前にはこの数字は134だった。新しいハイテク装備の食料雑貨配送センターが2020年にオープンするとの発表もしている。これらのセンターでは従来のものよりも40%多いプロダクトを処理できるようになる予定だ。
これらのロジスティックス関連の投資のおかげで、彼らのeコマース売上は年比較で40%増加している。それによって、ウォルマートが持つデータポイントも増えている。翌日配送のような、よりコストがかかる、より便利な配送機能を展開していくなかで重要となるものだ。翌日配送ではコスト効率を良くするために対象となるプロダクトはかなり限定されている。対象となるプロダクト数は2万2000以上と発表されたが、これはWalmart.comでもっとも頻繁に購入されるプロダクトに基づいているという。しかし、実際に何が対象となるかは、地域によって変わるという。
翌日配送に関しては、同じフルフィルメント・センターからひとつの箱で送ることができるプロダクトのみを対象とすることで、コスト効率を高めている。「これは、注文がひとつの箱で、もしくは出来る限り少ない数の箱で届くことを意味している。また低価格な地上の配送を使って短い距離を運ばれるということも意味している。複数の地域から複数の箱に入って届けられるようなオンライン注文とは対称的だ。こういった注文はコストがかかりがちだ」と、ロア氏は発表で述べている。
待ち受ける最大の壁
ロジスティクス・ネットワークを構築し続けるにおいて、ウォルマートが直面する最大の壁はコストだろう。直近の収支報告においてウォルマートCEOのダグ・マクミリオン氏は、「収益性を改善するための進歩がさらに必要」であり、「(提供する)プロダクトの種類をさらに増やし、リピーターを増やし、収益性の改善に貢献する」と述べた。
ライバルのAmazonは、顧客の利益のためであれば、一定の損を出し続けることも厭わないことを証明してきた。そのため、Amazonとの競争でウォルマートが収益性を改善することは非常に重要となる。
採算度外視でライバルを蹴落としてきたアマゾンに対抗するウォルマートから99株分の四半期配当を受け取りました。
【WMT】ウォルマートからの配当金
ウォルマートより1株あたり0.53ドルの四半期配当金となっているので、0.53×99=52.47ドルが実際の配当金となります。
2019年4月【WMT】配当との比較
前回四半期配当権利落ちより買い増し実施しており配当が増えています。
【WMT】Walmart Inc.の主要指標(2019年6月9日)
株価 106.06ドル
PER 37.11倍
年間配当 2.12ドル
配当利回り 2.00%
年率EPS 4.81ドル
Payout Ratio 44.1%
増配年 46年連続(Since 1973)
【WMT】ウォルマートの日足チャート(1Year)
【WMT】ウォルマートの週足チャート(5Year)
FRB利下げ示唆により株価も高値を伺おうとしている。
株価だけに浮かれず定期購入を心掛けていきたい。